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    院長の独り言34(ピロリ診断)

    2017年6月21日
    By sakaemachi-staff
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    皆さん,おはようございます。

    札幌市東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニック 院長の佐藤 龍です。

     

    今日は水曜日,1週間の半ばです。また今週末は天候があれるとの予報。どうも今年は週末に天気があれる流れなのでしょうか? というよりもう少しで6月も終わり,1年の約半分が経過したことになりますね。

    そういえば4月から始まったプレミアムフライデイはどこにいったのでしょうか?4月こそニュースになっていましたが,5月にはさっぱり,ちなみに今月はいつ?23日なのか30日なのか?う~ん??導入している企業はどのくらいあるんでしょうか?医療業界では,やってるよという声は,さすがに聞かれていないですね。

     

    さて,今日は何をつぶやこうかな?と思案して過去の自分のブログを眺めていましたが,私の専門分野である消化管,日々毎日診療をしているのに,胃の病気についてはあまりふれていない・・・。

    あれ,ピロリ菌? ここの分野は他の病院やクリニックでも散々注目されているので,スルーしてきた。

    ヘリコバクター・ピロリ菌が胃がんの原因であることはわかってきて,いろいろ書かれている。

     

    今日は診断の仕方について,にしよう。

     

    皆さん,ヘリコバクター・ピロリ菌がいるかどうか?また胃がんになりやすいかどうか,どのようにして検査,診断しているでしょうか?

    2013年まではピロリ菌がいるだけでは,保険上治療ができませんでした。胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍があるか,潰瘍の既往がある(潰瘍瘢痕),または胃がん治療後,MALTリンパ腫や一部の血液疾患(特発性血小板減少症;ITP)に限られていました。

    2013年に保険で治療を行うことができるようになったのですが,ピロリ胃炎の存在が必須となっています。

    つまり,ピロリ菌がいるかどうかの検査と内視鏡検査(バリウムも可となってはいますが,ほぼ内視鏡です)が必要です。

     

    ピロリ菌がいるかどうかの検査はいろいろありますが,今一般的に行われているのは

    抗体検査といって,血液でできる検査で健康診断でもオプションで導入されています。

    他に尿素呼気検査,迅速ウレアーゼ検査,尿中抗体,便中抗原,病理検査,培養などがあります。

    いずれも100%の診断ではありませんので,一つの検査で陰性(-)だからといってピロリ菌が絶対いないとは言い切れません。

     

    血液検査が最も使われますが,値段が安く(保険であれば測定の方法にもよりますが800円の保険分,3割であれば240円程度が一般的でしょうが,自費で行う場合はまちまちです),検診では追加の検査なくできるからです。しかし欠点もあります。抗体なので除菌をしてもしばらく残っています。時に5-10年以上も陽性(+)となることあるので,除菌後に抗体での検査をうけることはデータを取る以外にはお勧めしません。また,偽陰性といってピロリ菌がいるのに陰性(-)とでることもあります。

    したがって,内視鏡でピロリ胃炎が強く疑われる場合は,他の検査を追加することが推奨されます。

     

    次に行われるのが尿素呼気検査,通称UBT(ユービット)と言われる検査です。

    先日院長もこの検査をうけたことをブログでも書かせてもらいました。

    この検査が一般の病院でできる検査で診断能力の高い検査になりますが,採血と比べるとお値段が上がります。

    5000円の保険分なので3割であれば1500円程度になります。

    ピロリ菌の除菌後は最も推奨されている検査なので,いるかどうかの検査だけであれば,ちょっとお高くついてしまう気がしますので,最初は血液検査で行われることが多いんです。

    しかしこの尿素呼気検査も100%ではありません。偽陰性(いるのにいないとでてしまうこと)があり,特にプロトンポンプ阻害剤を服用されている場合や,除菌後すぐでは起こり得ます。

    可能であれば,プロトンポンプ阻害剤などは少なくとも2週間前からはお休みして検査をすることが推奨されており,除菌後は最低4週間以上空けること,となっていますが,専門の先生方では6週間から8週間空けて検査をされることが多いです。 栄町消化器・内視鏡内科クリニックでも決して安い検査ではないと思うので,確実に8週間程度空けて検査するようにしています。

     

    ピロリの検査が始まったころはよく内視鏡検査の時に同時に組織の検査をして,迅速ウレアーゼテストを行っていました。しかし,色味で診断するため,診断する医師によって陽性か陰性か,結果がかわってくることがあり正解性に欠けるため最近はあまり使用されません。

    また尿の検査は偽陽性(いないのにいるとでてしまう)が多く,成人ではあまり使用されません。

    便中検査も診断能力は高いとされていますが,わざわざ便をとるのは羞恥心や手間がかかるし,いつでも検査というわけにはいかないのであまり普及はしていません。

    最後に病理検査ですが,これは内視鏡検査のときに組織をつまんできて顕微鏡で除く方法と,培養する方法があります。顕微鏡で診断すれば直接ピロリ菌を観察するため,まず陽性(いる)であれば陽性なのですが,ピロリ菌がいるところをつまんでこないと診断できなかったり,特殊な染色が必要であったり,専門の病理医でないと診断が難しいところもあるので主に大学などピロリ菌の専門の施設でのみ行われています。

    培養は診断結果がでるのに時間がかかるので,最近は敬遠される傾向にあります。

     

    いずれも100%というわけではないので,しっかり内視鏡でピロリ胃炎があるかどうかを診断し,ピロリ胃炎がある場合は採血で陰性であっても,他の方法で追加検査することが推奨されています。従って,内視鏡検査,内視鏡での診断が重要となってくるんです。ここはまた後日触れたいと思います。

     

    ピロリ菌は退治したら,胃がんに絶対ならないということではなく,胃がんになる確率が減るというだけですので,ピロリ菌がいたという方は年に1度の内視鏡検査を是非受けていただきたいと思います。早期であれば95%以上完治します。

    最後にピロリ菌は進行すると,胃のなかからいなくなるため,除菌もできなくなります。しかし,ピロリ胃炎は強いため胃がんの最も危険な胃となってしまいます。最近は早期の診断と治療がいわれており,北海道では北海道大学を中心に,胃がん撲滅のため中学生からピロリ菌の検査と除菌が行われています。

    また高齢だから,いいやではなく,ピロリ菌の感染は子供のうちに家庭内で感染する経路が多いといわれていますので,お子さんやお孫さんにピロリ菌をうつさないためにも,検査をされたことのない方は是非,検査を受けていただくことを強くお勧めいしたいと思います。

     

    まだまだ書きたいことはありますが,もうこんなに長くなってしまったので終わります。

    でもこんなに長いのに写真が少ない,

    ということで院長の趣味のパズル

     

    今月の一枚です。

     

    え?,いらない。

     

    もっと詳しく知りたい方は是非質問にいらしてください。

    第一水曜日の13:00からの勉強会終了後に質問コーナーを設けております。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

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