札幌市は東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニックです。当院は2017年4月に開業をしており2024年3月で7年が経ちました。開院当初は認知もされておらず、内視鏡検査も外来もまばらでいつでも予約がとれる状態でしたが、最近は内視鏡も予約が埋まっており、外来も予約がとれない日が増えてきました。内視鏡専門とするクリニックが札幌市内でも増加してきており、内視鏡専門にすればもっと待機がなく内視鏡検査ができますが、診断から治療、そして予防と患者さん個々と向き合いたいため現状の検査件数が医師一人では限界と考えています。
大腸検査も当院では半数以上の方に大腸ポリープがみつかり治療も兼ねるためどうしても時間がかかってしまいます。また病院によっては切除する個数を制限しているところもありますが、ポリープも可能な限り1回で切除し、検査の回数を減らしてあげたいため多い患者さんでは30ケ以上切除することもあります。
ポリープ切除といってもコールド切除、ポリペクトミー、EMR(内視鏡的粘膜切除術)、UEMR(浸水下EMR)と治療方法はさまざまです。術後の合併症には出血と穿孔(腸に穴が開く)がありますが、コールド切除ではまず穿孔はありません。出血により再度内視鏡検査が必要になるのは0.1%以下となっています。通電した場合は出血、穿孔の危険があがり、さらに内服薬(抗血栓薬)や糖尿病、腎障害など併存疾患によってその危険度はかわってきます(6-15%、ワーファリンでは30%というデータもあります)。出血は治療当日から翌朝にかけてが最も多いため出血リスクの高い場合は、1日絶食としていただき翌日診察にきていただいています。翌日受診していただいて出血が問題なく食事を開始した途端に出血をきたす場合や1週間後に出血をきたすこともあるため治療後1週間は遠征は控えていただいています。極力1回で治療終了を目指していますが、大きすぎる病変(2.0cm以上)や粘膜下層への浸潤が否定できない病変は後日他院で入院して治療が必要な場合もあります。また個数が多い場合も一度に治療が完遂しない場合もありますので、その時は半年から1年後を目安に再度検査、治療が必要となります。
昨今は2人に1人ががんに罹患する時代です。さらに食事の欧米化や運動不足により大腸癌は増加しており、女性では2019年の統計で大腸がんの死亡が一番多くなっております。さらに大腸癌死亡率は欧米を凌駕してしまい、胃癌大国といわれていた時代から大腸癌に推移してきています。以前からリスクは言われておりましたが、アルコールの摂取が大腸がんのリスクであり今年やっと厚生労働省からもアルコールの摂取が癌のリスクであると報告がなされました。また大腸がんの原因の多くはポリープであり、ポリープを切除していくと大腸がんの死亡が半分になるという大きな海外データもあります。がんになる前、または早期のうちに内視鏡治療で終了できれば手術も回避でき、いつもとかわらない日常を送ることができます。欧米では50歳で大腸内視鏡検査を一度はうけることが推奨されておりますが、最近は若年の大腸癌の増加、さらには30歳代でも相当数の大腸ポリープが当院でも発見されております。45歳で一度は内視鏡検査をうけたほうがよいという意見もあり、未だに一度も大腸内視鏡検査をうけられていない45歳以上の方は検査を検討されてもよいと思います。
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