こんにちは!! 札幌市東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニック またまた院長の佐藤 龍です。
早いもので5月も半ば,いかがお過ごしでしょうか?4月からは新入生だったり新入職員であったり,新しいことが始まったり,また新しい環境や,新人が入ってきたりバタバタであったところも多かったのではないでしょうか?
そう,栄町消化器・内視鏡内科クリニックも4月10日に開院したので,ばたばたしてました。
ブログ初心者も気づけばぶつぶつつぶやいている院長の独り言も17まで来てしまいました。
環境がかわると体にちょっとした異変が起きてくることも少なくありませんが,皆さんは大丈夫ですか?
消化器でいうと,胃の痛み,上腹部痛がストレスから起きやすいことは以前のブログでもお話してきましたが,ほかにも下痢や便秘といった腸のトラブルも多いんです。胃や胆のう,すい臓などに異常がなければ「機能性ディスペプシア」というお話をしましたが,腸自体に異常がないのにおなかがいたかったり(腹部全体に生じることが多いです),便秘や下痢をきたす場合は「IBS:過敏性腸症候群」といわれます。
今日はそんな「うんこ」のトラブルについてつぶやいてみようかと思いますが,便秘も下痢もつぶやいていると日が暮れてしまうので,今日は便秘についての独り言です。
まず,便秘の定義ですが,こうだったら便秘という境界はありません。食事量であったり,運動量であったり,腸の長さによっても便の回数や頻度は人それぞれです。
一般的には2-3日排便がない,または毎日排便があってもコロコロした便しかでない場合は便秘といわれます。
ま,いつかでればいいかと思われている方,実は便秘が原因での入院は非常に多いんです。
格言:「たかが便秘,されど便秘」です。
私の診療ではどうしているかというとまず便秘を二つに大きくわけます。
1 便自体がない
2 便がたまっている
です。多くの方が2便がたまって出ないですが,意外に厄介なのが1便自体がないです。
1の方は便に執着していることも多く,すっきりでないと気になって気になって下剤を大量に服用していたり,下剤を求めています。しかし刺激性の下剤をたくさん服用すると腸自体に負荷がかかってむくんだり,腸は動くので便意として感じます。しかし出る便がないために便がでない,苦しいとなってしまうんです。原因は下剤の服用のしすぎとよく話をきくと便の元となる食事(食物繊維)が少ないことが挙げられます。したがって治療は下剤を中止または減量して,しっかり食物繊維をとることが重要です。
次に2便がたまっているですが,これをさらに2つにわけます。便が硬いのか,便は緩いけど腸にたまっているのかです。
これが便のチェックシートですが,皆さんの便はいったいどれに当てはまりますか?上3つは便の水分が足りずに硬い便になります。患者さんご自身から話を聞くことでわかることが多いですが,便が硬くてさらにたまっているというパターンもあるため,最初はおなかのレントゲンで確認します。便が硬いと便の周りに空気があり,便が緩いと便と空気が混在しているのである程度レントゲンでもわかります。また本当に詰まっている場合や辛いとき小腸にガスが出現することもあるのでレントゲンは有用です。
じゃあ,便秘だったらどうするの?
便秘の場合は昔コマーシャルでもありましたが,1に運動,2に水分,それでだめならコー〇〇〇というように,
基本は運動と水分補給が重要になります。
それでも便がつまりすぎると余計出ずらくなったりトラブルが発生するのであまりつまらないようにお薬で調整することも大事だと思っています。
みなさん便秘がひどくなるとどうなると思いますか?
便秘にまつわるトラブルで一番大変なのが腸が破けてしまうことです。腸が破けると便がおなかの中に漏れます。便はご存知のとおり大腸菌をはじめ細菌がすごくたくさんいるので腹膜炎となって最悪命を落とすこともあります。
次に,便が硬いかたに多いのですが,便をしたあとに左側のおなかが痛くなって血便がでます。虚血性腸炎と言って腸の心筋梗塞バージョンです。軽くすむことも多いのですが,一部は(1%といわれています)腸が狭くなって便が通らなくなったり,手術が必要になることもあります。またものすごい腹痛が襲ってくるので入院が必要になることも少なくありません。
他にも肛門近くの直腸に便の圧が原因で潰瘍ができ(直腸潰瘍といいます)て大量に出血したり,痔がきれて出血します。また,腸に圧がかかると大腸の外側に憩室という袋ができて,その袋は壁が薄いので破れたり,出血したり,時に袋に細菌が繁殖して憩室炎という炎症を起こすことがあります。炎症を繰り返していると憩室のある腸は細くなっていくので余計便がでずらくなったり,炎症はないけど排便の時に腹痛があったりします。
まだまだありますが,本当に「たかが便秘,されど便秘」ですので,一度普段の便を振り返ってみてはどうでしょうか? また糖尿病や高コレステロール血症,高血圧といった生活習慣病を持っている方やアルコールを摂取されるかはより上のトラブルが発生しやすくなっているので注意が必要です。
中には便がつまっていても苦しくなく気づいたら出血しているケースもありますのでご心配な方は一度ご相談ください。
今話題は「うんこ」です。
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