みなさんこんにちは!!
札幌市は東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニックです。
インフルエンザ流行発表がありました。今年は例年より半月ほど早いです。
今年はワクチンを接種されているかも軒並みインフルエンザに罹患されています。ワクチンに入っていないタイプのインフルエンザも流行している可能性がありますので,ワクチンをうったからと今年は安心しないで予防に努めましょう。
さて,最近はお薬の安全性に関する疑問,質問もよく頂戴します。
「漢方なら安全ですよね」
というご意見も頂戴します。
Q「お薬は安全ですか?」という質問。
今回は漢方に関して。
漢方で最も多い副作用はやはり肝障害です。肝障害から偽アルドステロン症といってカリウムが低下し,脱力感や意識障害をきたすことも頻度は低いですがあります。
従って漢方を服用されている場合は定期的な血液検査をお勧めします。
肝障害であれば早期に中止すれば概ね正常に戻ることが多いのですが,中には漢方による副作用で不可逆的,つまり治らない副作用があることも知っておかなければなりません。
静脈硬化性大腸炎です。
大腸の深部,上行結腸や盲腸から肝臓に至るまでの静脈に石灰化(硬化)がおこり,血液がうっ滞して,腸がむくんでしまい,ひどくなると潰瘍形成,そして腸が壊死してしまうことがあります。
今のところわかっていることは漢方の成分で山梔子(サンシシ)が含有されていると,発症する可能性があります。
このサンシシは上行結腸で吸収されるため,上行結腸でのみ炎症を起こすのです。
残念ながら早期にはほとんど症状がなく,大腸検査でたまたまみつかることがあります。
進行してから発見された場合,内服を中止することで症状が軽快することがありますが,繰り返したり,症状が強い場合は手術が必要になることもあります。
診断は腹部X線検査やCT検査で静脈の石灰化と大腸内視鏡検査で青銅色の浮腫,潰瘍形成などで診断されます。
↑ 上行結腸の色調変化と浮腫
この疾患はおおむねサンシシの含まれている漢方を5年以上服用しないとほとんど出現しないため,長期に漫然と服用しなければ問題ありません。
漢方を服用されている方,定期的な血液検査とサンシシが含有されている漢方を長期に服用されていないかもう一度見直してみてはいかがでしょうか?
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