みなさんおはようございます。
札幌市は東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニックです。
とうとう5月も終わりますね。やっと春らしくなってきたと思ったら,ひと月もたたないうちに夏至です。
その後はどんどん日が暮れるのが早くなっていきます。
さてQ and Aでお伝えしていますが,血便で受診される方も少なくありません。
「血便がでました。痔でしょうか?」
「血便がありますが,大腸の検査をした方がいいでしょうか?」
という質問を頂戴します。
まず血便とはなにか?
主に赤い潜血で直腸・肛門から下部の大腸からの出血が疑われます。
黒っぽい便がでることをタール便とよびわけ,主に胃や十二指腸,小腸といった上部消化管からの出血であることが多いです。
またねっとりした粘血便が多量に出る場合は下血といって多くは上行結腸や回腸からの出血が疑われます。
従って,まず血便の色でおおざっぱな出血部位の予想が立ちます。
しかし,大量に出血した場合は上部消化管からの出血でも下血や血便となりますし,抗血栓薬を服用されていると潜血で出血してくることもあります。
次に出血の量,便自体の性状を確認します。
少量付着する程度であれば肛門からの出血,痔である可能性が高いのですが,痔でも大きな痔静脈が破裂すると大量の出血やショックといって冷や汗をかいたり意識を失うこともあります。また便秘の方が排便後に出血し,特に腹痛を伴う場合は虚血性大腸炎の可能性や出血性直腸炎の可能性を考えていきます。虚血性大腸炎では緊急の内視鏡検査はほぼ不要ですが,出血性直腸潰瘍は動脈性の出血であることが多く,緊急の内視鏡処置が必要になってきます。
↑ 虚血性大腸炎
↑ 大腸がん
そして便自体は通常の色をしている場合は痔や直腸またはS状結腸からの出血を疑い,頻度や量によってはポリープやがんの可能性も考えられますので大腸内視鏡検査を勧めます。
↑ 直腸腫瘍
さらに出血していないときに便が細かったり,下痢状でしか出なくなってきた場合は進行性の大腸がんの可能性もあるため,診察はもちろんのこと,腹部のX線やエコー,CTなどで腸がつまっていないか確認したのち,大腸検査を行います。
もちろんこれ以外にも放射線性腸炎であったり,潰瘍性大腸炎,出血性腸炎,感染性腸炎など血便となる可能性のある疾患は多岐にわたります。
↑ 潰瘍性大腸炎
↑ 好酸球性胃腸炎
年齢,便の性状,血便の性質や量,大腸検査の既往,内服,合併症を加味しながら診断・治療を行っていきます。
しかしながら最近の日本は大腸がん,ポリープが増加していることも間違いはありませんので,1-2年以内に大腸検査を受けていない場合は一度は内視鏡検査をうけることをお勧めします。
血便でお困りであればご相談にいらしてください。
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