こんにちは!
最近は暖かい日多かったかと思いきや,今日の札幌は肌寒い一日です。
網走やオホーツクの一部では雪予報もあります。
さて,Qand Aで質問にお答えしています。
今回は
「大腸がん検診で便潜血が+-でした。内視鏡が必要ですか」
「便潜血でひっかかりました。再検査ではだめですか?」
「便潜血が陰性だったので大腸がんは大丈夫ですよね」
という便潜血に関する質問。
まず便潜血にはいろいろな種類と,実は地域によって+-の判断が異なります。
ひと昔前までは化学法といって肉や魚の血液でも反応していましたが,最近は免疫法といって,人間の血液にしか反応しません。従って,前日にお寿司を食べたから,ステーキを食べたから陽性だったというのは通用しません。
そして一回でも+であれば大腸内視鏡検査が推奨されます。というのも1回しか提出していないと進行性の大腸がんであっても55.6-73.3%しか陽性になりません。2日提出してやっと75.0-85.6%の陽性率になります。大腸がんは常に出血しているわけではありません。
つまり便潜血が陰性-であっても大腸がんである可能性は否定できません。特に盲腸,上行結腸といった肛門から遠いところの大腸がんは便潜血が陰性になりやすいようです。
そして内視鏡で治療できる,または転移の少ない早期がんの便潜血陽性率に限ると2日提出しても50%ぐらいしか陽性になりません。
なので便潜血が一度でも+であれば大腸内視鏡検査を受けてもらいたいので,便潜血の再検査は意味をなしません。
そして,便潜血が陽性であった場合,大腸検査をうけず放置していると,日本人のデータで大腸がんによる死亡が4-5倍も高かったため,経過をみることはあまり適切ではありません。
そして,大腸内視鏡検査以外の方法はないか,というと注腸X線というバリウム検査や近年はCTによるコロノグラフィー,大腸カプセルなどがありますが,大腸腫瘍発見率は優位に内視鏡が優れているため,本邦では全大腸内視鏡検査のみが現時点では唯一の推奨となっています。
今月発売の下部消化管内視鏡,スクリーニングマニュアル
ちょうど便潜血陽性時の対応について執筆させてもらいました。
昨今日本人の大腸がん,大腸ポリープが増加しています。大腸がんは早期に発見すればほとんど命をおとすことはありません。検診を受けられていない方は,是非一度検診を,そして,要精密検査となった方は必ず大腸内視鏡検査を受けてもらいたいと思います。
目を通した論文は実に70以上・・・
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