おはようございます。
札幌市は東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニック 院長の独り言です。
いやぁ,つい先日まで夏だと思っていたらめっきり寒くなりましたね。
今朝の札幌は10度をきりました。
これからはウイルスが猛威を振るう季節です。インフルエンザにノロに・・・・。皆さんお気をつけて,手洗いうがいをこまめにしましょう。これだけでもかなり予防できますよ。
さて,肝障害シリーズ。
今回はアルコール性(ASH)。
先日道新にアルコール摂取しているかたの多くが,適度な量を守れていないと報道されていました。
みなさんは,適量をご存知ですか?
1合になるわけですが,例えばビールなら500ml,日本酒や焼酎なら180ml,ワインなら120mlです。
加えて休肝日を設けることが重要です。
とはいえ,欧米のデータで,アルコールを少しでも摂取している人は飲んでいない人に比べて脳の萎縮が進んでいるようですので,過度の安心は禁物かもしれませんが・・・。
中にはアルコールを大量に摂取していても肝障害がでない人と,少しでもでる人,さらに食道がんのなりやすさも違います。
欧米人はアルコールを摂取しても分解してくれる酵素を持っている人が多数ですが,日本人には少なく,分解酵素を持ち合わせていない人が意外と多いんです。
見分け方は,簡単には若いころアルコールをのんで顔が赤くなったかどうかです。
赤くならない人は分解酵素をもっていることが多く,赤くなる人はもっていないことが多いのです。
赤くなる人も訓練によってある程度アルコールが飲めるようにはなりますが,実は一番危険なんです。
食道がんではアルコールの分解酵素を持ち合わせていない人の方が,食道がんの発生が多いのです。
肝障害では,肝機能の項目は多々ありますが,逸脱酵素(ASTやALT)では肝臓の中心から障害がくるので,中心からこわれてくるASTがALTより高いことが,ポイントです。
脂肪肝であれば肝臓の辺縁の酵素が逸脱するためAST<ALTとなります。
また中性脂肪が高い,白血球が多い,そしてγGTPが高いことも指標です。
すでに肝障害が出てしまい,禁酒していた方が,アルコール摂取を始めると意外とわかりますよ。
そして超音波検査では肝臓のなかがまだらになってきます。
慢性肝炎になってくると肝臓の辺縁が緩くなり,肝硬変になると辺縁がごつごつしてきます。
慢性肝炎では禁酒で肝機能は回復がみこめますが,肝硬変までいってしまうと肝臓が硬くなり,戻らなくなってしまいますので,肝硬変になる前に禁酒が重要です。
また肝硬変までいってしまうと,肝臓にがんができやすく,食道静脈瘤や,おなかに水がたまりますので,苦痛を伴ってきます。
アルコールを摂取され,肝障害のある方は,自分がどの状態にあるのか,一度相談してみてはいかがでしょうか?
9月号のOtoneから。アルコールはほどほどにね。
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