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    院長の独り言28

    2017年6月9日
    By sakaemachi-staff
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    今日はいい天気ですね。おはようございます!!札幌市東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニック院長の佐藤龍です。

     

    今日は清々しい天気ですね。札幌の予報では明日からまた雲行きが怪しくなってくるようです。今年の札幌は平日に天気がよくて週末になると天気が荒れる流れとなっているようです。

    本州では梅雨入り本番,のようですので,今日の天気はありがたいと思わないとだめですかね。

     

    さて,今日は前々回の大腸がんに続いて大腸ポリープについてつぶやいていきたいと思います。

    まず大腸ポリープはいわれるけど,なぜ治療をするのか?

    ほとんどの大腸ポリープは良性(腺腫といわれます)です。治療をしなくてもかわらないものが多く,また過形成性ポリープも多々認められます。胃であればこの過形成性ポリープはヘリコバクター・ピロリ菌との関連やがん化の可能性もいわれていますが,大腸の場合は特殊な過形成性ポリープ(鋸歯状腺腫)を除いて,まずがん化はしないといわれているので治療はいりません。

    腺腫であった場合治療するかどうかとなりますが,1cmを超えるとポリープの中にがん細胞が含まれいる可能性が高くなり20%ぐらいはあるとされるので治療が必要です。6-9mmですと5-10%,5mm以下となると数%のがん細胞が紛れています。

    また腺腫にも細胞や細胞の配列がおとなしい低異型度の腺腫と,がんまではいかないけど顔つきや配列が乱れてきている高異型度の腺腫に分類されます。

    海外のデータでは6-9mmのポリープでは高異型度の腺腫が8%ぐらい,5mm以下のポリープでも同じ8%ぐらいの高異型度腺腫が含まれていたという報告もあります。この高異型度の腺腫はポリープ自体ががん化したり,日本のデータでもほかの大腸に大腸がんができやすいとする試験結果がありますので治療が必要です。

    ではどのくらいの大きさのポリープを切除するのか?まだ小さいからとれないといわれた方も中にはいるのではないでしょうか?2014年の日本のガイドラインでは6mm以上を切除推奨となっており5mm以下のポリープは経過をみると記載されています。

    しかし最近海外のデータでは,大腸の腺腫性ポリープをすべて切除していったら大腸がんによる死亡を50%ほど減らすことができた,という研究が報告され,欧米のガイドラインは小さくても腺腫性ポリープは切除が推奨となっています。

    日本では大腸がんの死亡が増加してきており,食の欧米化含め疾患も欧米に似通ってきています。

    決してすべてのポリープががん化するわけではないので,全員すべてのポリープ切除が正しいかどうかは難しいところですが,小さいポリープの方が切除しやすく,出血や穿孔(穴が開く)といった偶発症も低いので,最近は小さいポリープも切除されることが増えてきています。

    大腸ポリープ切除の目的は大腸がんによる死亡を減少させること,にありますので,もともと持っている持病により,大腸がんになる危険が高くないポリープを全員切除というわけではありませんので,よく主治医と相談することが重要です。

    特に血液をさらさらにする薬を飲まれている方,腎臓の悪い方,糖尿病の方は,ポリープ切除の合併症(出血)が多いといわれていますので,よく相談してください。

    どうしたらよいか,お悩みの方は,相談にいらしていただければアドバイスできると思います。

     

     

    またポリープ切除するかどうか診断することが重要と考えています。

    上2枚はどちらも同じ大きさ,形状のポリープです。これが一般的な白色光といわれる観察です。

    違いはわかりますか?

    片方は切除するポリープ(腺腫),もう一方は切除しなくてよいポリープ(過形成性ポリープ)です。

     

     

     

     

    上の2枚はどうでしょうか?左は白く,右は茶色です。実は最初の写真に波長の短い光をあてた観察になります。

    左は過形成性ポリープ,右は腺腫です。つまり左のポリープはとる必要がなく右のポリープは切除なのです。

     

    一般の観察だけでは私のデータでは70-75%,ほかのデータでも80%ぐらいの診断ですが,特殊な光(NBIやBLI)を充てることで90%以上にもなります。

    当院でもBLIを採用しており,さらに拡大観察を付加することで95%以上の診断が得られます。

    さらに,がんが疑わしいかどうかも,一般の観察よりは5-10%上乗せされますので,無駄なポリープ切除を回避することも可能です。

     

     

     

     

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