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    院長の独り言42(ヘリコ)

    2017年7月7日
    By sakaemachi-staff
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    おはようございます!!
    栄町消化器・内視鏡内科クリニック 院長の独り言です。

    7月も早いものですでに1週間がすぎました。さすが7月というぐらい今月に入ってからは,夏を感じる日が多いですね。
    皆様はいかがお過ごしですか?

    今日の札幌も30度を超える予想。熱中症,日射病に注意してくださいね。

     

    さて,今日は先週のピロリ菌に引き続いて,内視鏡でどのように診断していくのかをつぶやきます。

    解剖のお話から・・・。食道を抜けると胃には頭側から噴門部と穹窿部,そして胃体部,前庭部とつづき,幽門輪(内視鏡で見ると,ミ〇〇ード〇〇ツのポンデリングのような形をしてます)をこえて十二指腸へと続きます。

    口から入ったピロリ菌はまず胃の出口の方,前庭部に生着します。

    イメージとしては牛の放牧を頭の中に描いてみてください。
    放牧民は,牛の牧草がなくなると移動します。

    イメージとしてピロリ菌も胃の出口の粘膜(牧草)を食べては上の方に移動すると考えてください。ピロリ菌に食べられた胃の粘膜は萎縮といって薄くなったり,雑草がはえたり(腸上皮化生),黄色いたんぽぽが咲きます(キサントーマ)。つまりピロリ菌に長く感染するほど,胃の粘膜はなくなっていきます。たまに外来種の雑草が生えるとどんどん広がっていきます(今話題のヒアリみたいなもんです)。がんの発生です。

    またピロリ菌はウレアーゼという酵素を出して,胃酸から自分の身を守ります。
    これが胃体部に汚い粘液をもたらします。

    さらにピロリ菌に食べられた粘膜を修復しようとしてポリープができます。これは赤いポリープで過形成性ポリープといわれます。
    感染の初期にはピロリ菌を排除しようとして,胃内のリンパが反応して特に前庭部に小さい隆起がたくさんできて,あたかも鳥肌のようにみえます。胃体部にくると胃にあるひだが反応して太くなります。

    ピロリ菌は小さいので拡大内視鏡を用いても直接みることはできません。内視鏡ではこれらを拾い上げ,ピロリ菌による胃炎があるかどうかの診断を総合的に行っていきます。

       

    ↑ ピロリがいない健常な胃

     

       

    ↑ ピロリがいる萎縮した胃

    ↑ ピロリがいる粘液の付着した胃

    京都分類ではA;萎縮の程度,IM;腸上皮化生の程度,H;ひだ肥厚の有無,N;鳥肌上胃炎の有無,DR;びまん発赤の有無を点数化して評価します。

    ピロリ菌を除菌した後も,ピロリ菌に食べられた胃の粘膜はすぐに修復(牧草がすぐ生えてくるわけではありません)せず,そのままであることも多く認められます。このピロリに食べられた胃の粘膜から,外来種のがんが発生するため,ピロリがいなくなった=がんにならないでは決してありません。

    また,胃ポリープの中でも胃底腺ポリープはピロリ菌に感染してできた過形成性ポリープとは異なり,顕微鏡でみると健常な胃底腺がみられ,ピロリ菌がいない胃に多く見られます。

     

    このピロリ胃炎が認められた場合にピロリ菌がいるかどうかの検査を追加で行うことができます。

    内視鏡検査をせずにピロリ菌がいるかどうかだけの検査は保険上できませんので悪しからず・・・。

     

    9月に院内勉強会を開催する予定ですので,ご興味のある方はお待ちしております。

     

     

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