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    院長の独り言74(下痢)

    2017年9月8日
    By sakaemachi-staff
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    おはようございます。

    札幌市は東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニック 院長の独り言です。

     

    早いですね!もう9月も中旬に差し掛かります。今日も小春日和。清々しい朝でした。

    週末なのでみなさん,もう少しがんばりましょう。

     

    院長は次は場所,時間を間違えないようしましょうね。

     

    さて,当院は病院名が栄町消化器・内視鏡内科クリニックですが,一般診療も行っております。

     

    とはいえ,やはり消化器症状で受診される患者さんが多いのですが,消化器症状で多いのが下痢や便秘。

     

    特に下痢では長期にわたり改善しないという方もいらっしゃいます。

    大腸内視鏡検査をうけていただくことは重要ですが,実はただ観察してくるだけでは下痢の原因をすべて突き止めることは難しいこともあります。

     

    みなさん,スピロヘータという病気をご存知ですか?

     

    これは今年流行しているといわれる梅毒の一種で,腸管に寄生します。

     

    人にのみ寄生するタイプと,人以外にもウシやブタ,イノシシ,シカなどの哺乳類に寄生するタイプ(Brachyspira pilosicoli )があり,このひと以外のタイプが口から人に入ると症状を起こすことがあります。

     

    症状としては下痢,血便,腹痛,そして時に便秘を呈しますが,無症状のこともあります。

     

    これは以前のブログでもお話しした,もともともっている腸内細菌の強さによってもかわります。

     

    例えば先進国のひとに感染すると症状はでるけど,発展途上国のひとに感染しても症状はでないことが多いようです。

    さて,どのように診断するのでしょうか?

    O157やキャンピロバクターのように便を培養に提出しても決してみつかりません。

    大腸の粘膜を生検して,顕微鏡で観察して初めてみつかります。

    それもよほど見慣れた病理医でないと見逃されることも少なくありませんので,内視鏡検査医から依頼をかける必要があります。

    内視鏡では特徴的な所見は粘膜下の浮腫(むくみ)ですが,軽度ではちょっと血管がみえないかな程度で終わることもあります。

     

    ↑重症ではこのようになります。

    ここの表面を提出すると

    ↑どーん。粘膜の表面にけば立ったスピロヘータを確認できます。が,X1000倍とかなりの高倍率で観察しないとみつかりません。

    そこで特殊な染色をします。

    ↑粘膜表面に黒く染色されたスピロヘータを確認できます。

    ↑ちなみ超音波内視鏡検査では粘膜下層の肥厚としてとらえられます。

    ↑注腸X線検査では感染した腸管がむくんでいる像がとらえらえます。

     

    では治療はどうするか?一般の抗生剤を服用しても残念ながら治療ができません。

    メトロニダゾールを7-14日服用します。

    服用後

    ↑内視鏡の再検査で赤くはれた粘膜は改善しました。

    栄町消化器・内視鏡内科クリニックでも4月から8月までの間に4名の腸管スピロヘータ症がみつかりました。

    検査をして,IBS(過敏性腸症候群)と診断されても実は特殊な感染症である可能性もあります。

    慢性の下痢でお悩みの方はご相談にいらしてください。

     

     

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