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    Q19 一度に治療できないんですか?

    2018年9月19日
    By sakaemachi-staff
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    みなさんおはようございます。

    札幌市は東区にある栄町消化器・内視鏡内科クリニックです。

     

    胆振東部地震から2週間が経過しました。クリニック近郊の陥没した道路もやっと開通し,少しずつスーパーでの食品もそろってきています。

     

    そして最近は訃報がよく入ります。樹木希林さんや山本KIDなど。詳しくは公表されていませんが,お二方ともがんで命を落としています。特に山本KID徳郁さんは41歳というわかさ。消化器がんではないかと噂されています。

    闘病はおよそ2年。 K1大好きで魔裟斗との対戦や開始わずか1-2秒での瞬殺勝利など,格闘家一家に生まれた素質を如何なく発揮してくれました。 心よりご冥福をお祈りします。

     

    そして,当院でも若いうちからがんであったりがんに近い病気であったり,検査で発見されることもあります。

     

    大腸の場合,ポリープや早期癌など多数発見される方も決して少なくありません。

     

    そこで

    Q どうして一度に全部とってもらえないんですか?という質問をいただきました。

     

    まず大腸の検査方法から

     

    大腸は胃とは異なり細く長い空間です。内視鏡検査も胃の内視鏡検査はできるが大腸検査はできないという医師や治療内視鏡(ポリープ切除,内視鏡的粘膜切除,内視鏡的粘膜下層剥離術)はできなかったり,できたりできなかったりします。特に内視鏡的粘膜切除術から内視鏡的粘膜下層剥離術は相当の技術を要し,時間もかかります。

     

    そして,大腸はまず肛門から内視鏡を挿入して,盲腸まで到達し,そこから観察が始まります。特につらくない内視鏡挿入をされる先生は挿入時に空気を挿入しない(私は空気すら挿入しない完全浸水法です)ため,挿入時に観察することは困難です。空気を入れて観察しながら挿入する方法もありますが,空気をいれない方法とくらべ,腸管の角度がより鋭角となり,伸びやすいため,苦痛を伴います。

     

    そして盲腸に到達してから観察を開始するのですが,7-8mm程度までのポリープであれば切除した後,病理検査に提出するため内視鏡の吸引口からポリープを吸引して回収できるのですが,それ以上であったり,内視鏡的粘膜切除術では水やヒアルロン酸が注入され大きく切除されるために回収が困難です。さらに大きいポリープや内視鏡的粘膜切除術が必要なポリープ,腫瘍は病理での検討が必要不可欠であるため,必ず回収します。

     

    では内視鏡で吸引できなければどうするのか?というと回収する道具を用いて肛門からだすか,内視鏡のサクションで吸引しながら回収します。するとどうしても内視鏡で十分な視野がとれず,時にほぼ見えないこともあります。

     

    このような大きなポリープを盲腸や上行結腸で切除した場合にはほぼ他の大腸の観察が不十分となります。また偶然発見しても回収していたポリープを一度手放し,切除後再度回収するのですが,腸の蠕動で流れたり,体勢によっては奥の大腸まで流れてみつからないということもあり,内視鏡治療に長けている先生方はおそらく経験したことがあるはずです。さらに他に切除したポリープ・腫瘍も吸引できない場合,似通った腫瘍であればどちらがどちらの腫瘍であるか,難しくなってきます。

     

    一度内視鏡を肛門から抜いた後,再度入れてとれば?というご意見もいただきましたが,前述したように,空気が入った腸管の挿入は,より挿入が困難で,さらに時間が経過していると鎮痙剤の効果もきれてくるため,腸が動き始め挿入がより困難になったり,苦痛を伴います。

     

    もちろん入院,大きな施設であれば鎮静剤や鎮痙剤を追加して,時間をかけて検査も可能とは思いますが,一般の病院,クリニックでは時間に限りがあるので,難しいのです。そして難しい局面での内視鏡検査,治療は出血や穿孔(穴が開く)偶発症の危険や,過度の鎮静では血圧低下,苦痛が増加すると血圧上昇から心血管疾患を引き起こすこともあります。さらに,小さいポリープであればすぐに切除しなくても,命には別条はありませんので,経過をみるときに切除するというのが安全面,患者さんの苦痛を軽減するためには最善策と考えています。

     

    もちろん当院でも何回も内視鏡検査を行わなくていいように,良好な前処置や,鎮静剤を用いた内視鏡検査を行い,切除できるポリープや腫瘍はなるべくその場で切除しておりますが,やはり安全が第一だと思っておりますので,決して無理はしないように心がけておりますので,ご理解をいただけると幸いです。

     

    なんか最後は手紙みたいになってしまいました・・・。

     

    あまりここら辺に触れているブログや情報はみられず,ちょうど患者さんからも質問を頂戴したので記載しました。

     

     

     

     

     

     

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